■IPS細胞とは?

IPS細胞(人工多能性幹細胞)とは「induced pluripotent stem cells」の頭文字をとったもので、京都大学大学院・医学研究科がこのIPS細胞を使って「始原生殖細胞」を効率よく作製することに成功したことで有名になった細胞です。


始原生殖細胞は卵子や精子の素になるため、これを効率よく作製できるとなるのならば不妊で悩む方にとってはこの成果は1つの希望として期待されています。他にも、色んな細胞などに分化する可能性(どんな細胞にも対応する)を秘めており「万能細胞」とも呼ばれています。


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IPS細胞の活用が認められたら、不妊治療だけでなく、病気におかされた臓器の再生することもできます(再生医療というやつです)。

IPS細胞で臓器を再生することによってドナー探しで足止めをくらったり、自分の細胞で作られた臓器なので拒絶反応の心配などもなく、病気に苦しめられる患者を救う希望の光にもなります。


また、同じ万能細胞と呼ばれるES細胞は受精卵から作製されます。これは受精した命を破壊しないと細胞が作れないことから倫理的に問題がありました。しかしIPS細胞は、自分の体の一部から作製することが出来るので「命を壊す」ことなく細胞を作ることができます。


■IPS細胞で卵子を作り不妊治療に応用することは可能か?


2016年10月に、マウスを使った実験で、IPS細胞から培養のみで卵子を大量に作り出すことが成功したという発表がありました。これまでは人間への応用は難しいとされていましたが、もっと研究をすすめてよりよいものになれば人間への応用も可能になるとされています。

今回の実験では、卵子の作製に成功した数はおよそ4000個で、それらを体外受精して出来た受精卵はおよそ1300個、そこから8匹の健康なマウスが産まれてきたという結果でした。通常の体外受精の成功率と比較するとかなり成功率が低いという結果ですが、非常に大きな前進です。


今後の改良によって卵子の質の向上を期待されています。


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このように、今はとても人間の不妊治療に応用できる段階ではありませんが、研究によって日々IPS細胞を使った卵子の作製は着実に進歩しています。

もしかしたら数年後には不妊治療の応用、実用化できているかもしれません。

長年我が子を抱くことを夢見ている方にとっては早く人間への応用をしてほしいものですよね。


■IPS細胞を不妊治療に応用する問題点



現在、IPS細胞から卵子や精子を作製する実験については国も認めていますが、それらを受精させ、1つの生命として「胚」となる体外受精は倫理の面からの考えで禁止されており、人間への応用に至るまではまだまだ問題があります。


また、血液や髪の毛などの体の一部でIPS細胞は作製することが出来るので、誰かが勝手に自分の知らないところで自分の子供を産み出すことが出来てしまうなどの問題もあります。

しかし、人間への応用を目指すためのステップとしては倫理面の問題を乗り越えることは必須であり、今後の議論・審議が必要でしょう。

他には、IPS細胞は自分の体の一部から作られるため拒絶反応はないとされていますが、発ガンのリスクもあると言われています。

また、IPS細胞から作製された卵子や精子を使った受精卵を体内に戻したときの人体への影響や、それによって産まれてくる子供への影響がどのうようになるのかがわからないため、更なる研究が必要です。


さまざまな問題をクリアし、この研究が更に進んで人への応用が可能となれば、不妊に悩む夫婦にとっては大きな希望となるのは間違いないでしょう。